渡部信子先生コラム
No.07 2011年02月
【No.07】歯磨きのように骨盤ケアを
昔から「子どもを一人産んだら歯が1本なくなる」と言い伝えられてきました。
確かに妊娠中は虫歯になりやすいもので、その理由は次のようです。
1. 妊娠すると唾液が酸性になり、歯の表面からカルシウムが溶け出す。
2. ツワリの時は酸っぱい食品を好むようになり、食べ物の酸が歯に着いている時間が長い。
3. ツワリのときはお腹がすくとよけいムカムカするので、少しずつ何か食べていると楽な人が多く、食べ物は口の中で酸性になり、不衛生にもなる。
4. ツワリのときなどは歯ブラシを口に入れると気持ち悪くなるので、きれいに磨けない。
妊娠してから歯の悩みを抱える人は多いですね。
「虫歯がひどくなって、痛んで寝られない。」
「歯周病と言われ、歯ぐきがはれて痛い。歯磨きをしたら血が出る。」
「妊娠後期に歯医者さんに行ったら、治療中に気分が悪くなって吐いた。」
「麻酔が必要なので、妊娠中は大きな処置はできないと言われた。」
「次の妊娠は、虫歯と歯周病を治してからにして下さいと言われた。」
「産後は赤ちゃんのお世話で、歯医者さんに通えない。」
こんな悩みを抱えてしまったら、つらいですね。
最近の研究発表によると、中-重度の歯周病(歯茎がはれて血が出る)にかかっている妊婦は、健康な歯ぐきの妊婦と比べて早産する危険性が高く、7.5倍にもなるそうです。
炎症によって作られた物質に子宮を収縮させる働きがあり、早産につながると言われています。
それで、こうならないように母親教室で虫歯予防のお話がされるのです。
皆さんが受けられた教室でもありましたよね?
骨盤の緩みから起きるトラブルを、上にならって書いてみましょう。
「腰痛がひどくて寝返りもつらい、熟睡できない」
「背中や肩がカチカチ、首が回らない、頭痛までする」
「産科の先生に相談したら、整形外科に回されたが、何もしてもらえなかった」
「痛み止めは赤ちゃんに良くないので妊娠中は弱い薬しか出せないと言われた」
「次の妊娠は腰を治してからにして下さいと言われた」
「産後は赤ちゃんのお世話で、整体にも通えない」
さらには、最近の研究で骨盤が緩むとお産になる。
つまり、妊娠5ヶ月でも6ヶ月でも、骨盤が緩むとお産=早産になることも分かってきました。
どうですか?
虫歯・歯周病と、骨盤の緩みから起きる腰痛のことを並べてみると、とても共通性がありますよね。
どちらにかかる人が多くて、どちらが重症者が多いかというと、私は骨盤の緩みから起きる症状の方だと思います。
皆さんのお友達や近所のママ達の話を聞いてもそうだと思いませんか?
ところが、母親教室で歯のお話はあっても、骨盤のお話があるところはまだまだ少ないのです。
これって、本当におかしな話だと私は思います。
妊産婦さんから「骨盤ケアの話を母親教室でしてほしい」「骨盤ケア教室を開いてほしい」などの意見がいっぱい病院に寄せられたら、きっと実現するはず。
『虫歯や歯周病にならないように、毎日歯磨きをする!』
『腰痛や早産にならないように、毎日骨盤ケアをする!』
どちらも、予防するための指導なら、1日勉強しただけでも助産師はできますが、ひどくなってからでは助産師の手に負えません。
高いお金と時間を使って、整体施術を受けに通わないといけなくなるし、何と言っても、お腹の中の赤ちゃんがかわいそうですからね。
(初出 2011年2月23日)
- 2025.04.22
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