渡部信子先生コラム
No.06 2011年01月
【No.06】「必勝」 安産
【-安産の条件 その1-】
妊娠中の人ならだれでも「安産したい」と思っていますよね?
前回のお産が安産でなかった人も「今度こそ安産したい」と思うことでしょう。
でも、どうしたら安産できるかについて、科学的に説明できる医師がどれだけいるのでしょうか?
安産のためには、良く歩きなさい、運動をしなさい、冷やすな・・などなどとよく言われます。
確かに間違ってはいませんが、どうもストンと胸に落ちないですね。
ところで、みなさん「分娩の三要素」って聞いたことがありますか?
お産が安産になるか難産になるかは、この三要素のバランスを考えるとわかります。
まず三要素とは、「娩出物」(赤ちゃんなど)「産道」(骨産道=骨盤と 軟産道=粘膜・筋肉・靭帯など)「娩出力」(陣痛と腹圧)の三つです。
例えば、ここに妊婦さんが二人いるとします。
お腹の中の赤ちゃんの大きさは、二人とも3Kg。
Aさんは23歳で165cmで二回目のお産、Bさんは33歳で150cmで初めてのお産。
どちらの方が安産できるでしょうか?これは、カンタン。
一般的にはAさんですね。
若くてしかも出産経験のある人の方が産道は軟らかいし、身長が高い人の方が産道は広いですもの。
でも現実にはBさんが安産して、Aさんが難産することも珍しくありません。
それは、赤ちゃんの姿勢や、産道や陣痛の「質」の良し悪しでそうなるのですが、詳しくは次回として、今回は話をわかりやすくするために、お産をドライブに例えて説明します。
「分娩の三要素」に対して「ドライブの三要素」をあげるとしたら、車体・道路・エンジンの力です。
狭い道路を大きな車体の車が、整備不良で動きの悪いエンジンで走るとしたら快適なドライブはできませんね。
おまけに、タイヤが道路の穴ボコに落ち込んでしまったら、いくらエンジンをふかしても、なかなか抜け出せません。
これがお産でいうなら、激しい陣痛に痛み苦しんでも、なかなかお産が進まない状態です。
それで、前から引っ張ってもらわないといけないのが、吸引分娩や鉗子(かんし)分娩です。
さらには、大きな落石が道をふさいでいたり、トンネルの天井から岩が落ち込んで、それに運悪く接触して動けなくなってしまったら、レッカー車を呼んで後ろから引き抜いてもらわないといけなくなります。
これがお産でいうなら、緊急帝王切開です。
皆さん、ドライブする時は、どの道路が事故や工事中で渋滞しているとかを、確認しながら走りませんか?
そんなの当たり前でしょう?
でも、お産の時に産道がよく整備されているかどうかなんて、産婦人科医も助産師も、ほとんど気にかけていないのが日本(世界?)の現状です。
だから、自分で妊娠中も分娩中も、産道を整備しておかないといけないのです。
整備の良い骨産道(骨盤)なら、マル高(高齢出産)の人でも、たいてい安産できます。
なぜなら、現代人は農作業などの重労働をしたことがないので、、軟産道は軟らかいからです。
ということで、BさんがAさんより安産するってことは珍しくないのです。
整備した者勝ちです。
安産は祈願するだけではできません。
安産は勝ち取るものです。
「必勝」安産 (^o^)/
(初出 2011年1月14日)
- 2025.04.22
- 14:26
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