渡部信子先生コラム
No.03 2010年10月
【No.3】どうして腰が痛むの?
骨盤ケアってなぁに?
「10年続いている腰痛を抱えたまま妊娠した」
「腰痛知らずだったのに、妊娠したとたんに痛みだした」
「毎日台所仕事もできないくらいイタイ~」
どうしてこんなに痛いの?
原因は?
実はどんな腰痛でも、女性の場合ほとんど原因は共通して骨盤にあるのです!
腰痛の原因は「ヘルニア・すべり症・分離症」などといわれます。
これらはおへソの後ろあたりにある骨腰椎のX線(レントゲン)やMRIなどの検査をしてトラブルが起きている画像が写った時に、このような病名がつきます。
でも女性の場合、整形外科を受診して検査を受けても、こんな病名がつくのはごくまれ。
ほとんど「腰痛症」という病名がつき、湿布を渡されておしまい。
それが最近になって、腰痛は腰椎だけでなく骨盤も考えるべきだ、という流れに変わってきました。
女性で腰椎だけが原因で痛んでいる人なんて私は見たことがありません。
みんな骨盤に問題があるのです。
ふつう女性は男性より、骨盤の骨と骨とを結びつけている靭帯(じんたい)が細く弱いのです。
でも農作業をしていた女性の靭帯はけっこう太く強かったのです。
ですから赤ちゃんは頭でママの骨盤を押し広げながら、時間をかけて生まれてきました。
靭帯が硬くては骨盤が広がらないので困ります。
それで、妊娠するとすぐにリラキシンというホルモンがたくさん出て、9か月ほどかけて陣帯をやわらかくして、赤ちゃんが骨盤を通りやすくするのです。
リラキシンは人間が二本足で歩くようになった700万年ほど前にはすでに出ていたものと思われます。
なぜなら、骨盤がガッチリしていないと二本足で歩けないけど、ガッチリしていたら赤ちゃんの頭は骨盤の中を通れないからです。
ほんの40年ほど前までは、日本の若い女性の靭帯は強かった。
でも、今は車があるので歩かない。
農作業なんてしたことがない。
子どもの頃から座ってゲーム遊び。
大人になったらパソコンに向かって毎日座っている。
なので、40年前と比べると、靭帯も筋肉もとても細くて弱いのです。
なのに、妊娠したとたんにリラキシンが降り注ぐのですから、靭帯はゴムが伸び切ったような状態に。
すると骨盤全体がゆるんで大きく広がっていしまいます。
そのうえ、だらしない座り方をしていたりすると、ものの見事にゆがんでしまうのです。
大きくなった骨盤の中には、内臓が下へ下へと落ちてオシッコが近くなったりもれやすくなったり、便秘・ぢ、だけでなく、中には膣の壁が出てきたり、最悪、子宮が飛び出てくる人まであります。
いわゆる「シモのトラブル」満載になってしまいます。
ですから、現代の妊婦さんには骨盤ケアは、しなくてはならないケアになっているのです。
では、骨盤ケアとは?
骨盤ケアの三原則
1. 下がり過ぎた子宮などの内蔵を「上げる」仰向けになって、お尻の下に枕などを敷いて、数秒~数分間休めばOK。
2. ゆがみ変形している骨盤を「整える」簡単な体操をすれば、左右不対象になったり、尾骨の付け根あたりが飛び出たりして変形している骨盤が、きれいに!
3. 緩んだ骨盤を「支える」せっかく子宮などの内蔵を上げても整えても、緩んだ骨盤のまま立ったり座ったりでは、すぐに悪い状態に戻る。
なので、骨盤をベルトなどで支えてあげれないといけないのです。
この1.2.3を「骨盤ケアの三原則」と言います。
1.2.3.の順番にしないといけないのではなく、できることからする。
何度もこの三つを繰り返す。
そして、スキンケアと同じように、毎日の習慣にしてほしいのです。
では、何を使って骨盤支えたらいいの?昔は木綿の布「さらし」でした。
でも、気持ち良くさらしを巻くのって難しいんです。
しっかり巻かないと腰痛は楽にならないし、座るとキツすぎてツライ。
ゆったり巻くと腰痛は楽にならないしずれ上がる。
私はいくら頑張ってさらしを巻いてみても、快適と思う巻き方ができませんでした。
それで、着脱も簡単で、立っても座っても快適なベルトを求めてミシンを踏み、何年もかけて作り上げたのがトコちゃんベルトなのです。
トコちゃんベルトのお陰で私の腰痛はずいぶんと楽になりました。
でも、トコちゃんベルトさえ着ければ、皆が腰痛がすっかり消えるってことはありません。
ゆがみ変形している骨盤は、体操をして整えないと痛みはなかなか楽にならない。
どんな体操したらよいかは、次回のお楽しみ!
(初出 2010年10月9日)
- 2025.04.22
- 14:24
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